福島

逗留者と避難者(中)――自主避難者の生活困難とアイデンティティの断片化

「私たちは内緒で、福島市から出てきたんです。子どもが通っている幼稚園にも、隣近所にも、何も言わないで。」(2012/02/22ヒアリング)

〈逗留者〉の横合いには、住み慣れた地域を無言で離れざるをえなかった〈避難者〉が存在する。〈余儀なき逗留者〉が「『私は避難させられないダメなお母さん』と自分を定義してしまう」(2012/02/20ヒアリング)様子を目の当たりにしてきた〈避難者〉は、自らの避難行為に対して「自分たちは悪いことをしているのではないか」(2012/02/04ヒアリング)と問いかける――そのことが「内緒」の、「何も言わない」避難に帰結する。
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逗留者と避難者――原発被災地における生活の断片化をめぐって(上)

未曾有の大震災から1年を迎えた現在、被災地、とりわけ原発被災地が直面している課題の1つに、生活の〈断片化〉を挙げることができる。

「『3・11』以前は一律に平和だったのに、『3・11』以降はそれぞれ問題が浮上してきている感じがする……補償がないところでは、避難できる世帯とできない世帯に分かれてしまう。それにつれて意思の疎通も離れてしまっている。生活が変わってしまった。」(2011/10/16ヒアリング)
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誰のための「絆」?

先日、2011年の新語・流行語大賞が「なでしこジャパン」に決定した。7月の女子W杯において、ドイツ、アメリカなど並みいる強豪を破っての初優勝が、東日本大震災から立ち上がろうとする人びとに希望と勇気を与えたという点が受賞理由であろうか。そして注目すべきは「絆」「帰宅難民」「こだまでしょうか」「3.11」「風評被害」など、大震災そして原発事故関連の言葉が、軒並みトップ10入りしたことである。

「絆プロジェクト」「絆支援員」「絆サロン」・・・。
被災地での活動や事業には「絆」の一文字が付されたものが少なくない。しかし同時に、この言葉が乱発・乱用されればされるほど、本来の言葉の意味が不透明になってしまった側面もあるのではないかと思う。

先日の授業でも、学生から「『絆』の意味が変わってしまわないようにしてほしい。『絆』という言葉を大切にあつかってほしい」との感想が寄せられた。今回のエントリでは「絆」の現在的位相について、被災地での聞き取りを踏まえながら考えてみたい。
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震災に遅れてきた私

未曾有の大震災から6ヶ月あまりが経過した。

最初のエントリの、それも冒頭で断っておかなければならないのは、あの日、私自身がまだ仙台市民ではなかったことである。

前任校の山口県で、仲の良かった学生たちとの昼食会を終えて車で大学に戻り、その間に届いていた何通かのメールによって地震の発生と津波の襲来を知ったことが、つい昨日のように思い出される。

このように、私的なエピソードから書きはじめることを、どうかお許しいただきたい。続きを読む

「想定外」を検証する

「想定外」

3.11の東日本大震災の後、いたるところで「想定外の地震」、「想定外の津波」という言葉を耳にしました。

「想定外」という言葉が一人歩きして、「想定外だからやむを得ない」として責任を回避するマジックワードのようになっていないだろうか。

「想定外の事故」という言葉で、思考停止状態になっていないだろうか。続きを読む
オピのおびとは

「オピのおび」は「オピニオンの帯」。東北から発信した意見が、太い帯となって世界に広がっていくようにとの願いを込め、「東日本大震災」から半年となる9月11日、新たなオピニオンサイトを立ち上げました。
東北在住の執筆者たちが、ある時は震災からの復興プランやこどもたちの未来について、ある時はそれぞれの専門領域を生かして、メッセージ性に富んだブログをつづっていきます。河北新報社が運営します。

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